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俳句エッセイ  35年ぶりのタケトミ

竹富島のカイジ浜で星の砂になったコヒトデの永遠に比べたら35年なんて、あっという間だ。

35年ぶりにタケトミを訪れた。

朝は遅い夫の熱い体をはなれてコテジ風の民宿さぷなの四阿におりる。あずまやの黒く磨かれた板が裸足にここちよい。板の上に黄色になったパパイヤの葉がいちまい落ちている。しゃこ貝のなかの蚊とり線香がうず巻きの灰になっていた。

ぬめぬめと光る大きな黒いものが1センチほどもあるツノを動かしながら近づいてきた。白い軌跡をつくるにつれて少ししぼんでいく。八重山ナメクジだ。

ケンケンケン、、、と、夜を惜しむかのように鳴く守宮をあとにひとり、道に出た。

さぷなのある村は、さんご礁や貝殻の砕けた細かい白い砂におおわれている。

お年寄りが、それぞれの小さな家の前の道に竹箒でさっさっと筋目をたてている。八重山の這いボタルが道のまんなかを歩いていたりする。

白い道の村を抜けて外周に出ると、味気ない舗装道路になった。野生の芭蕉やパパイヤが荒々しく茂っている。日が昇って暑くなったので、クワズイモの茎を折って葉を日よけにした。浜の手前に門中墓があった。

カイジ浜で星の砂を探していると、「こうやるといいんです」という声が浜辺の茂みのなかから聞こえた。彼は潮の引いたカイジ浜にすでにほうき目をつけていた。手のひらを砂に押し付けて、くっついた砂のなかからツノのあるのを選っている。 「星砂率は10%ほどですね」と私は言った。

朝食後に夫と歩くと、ほとんどの家では入り口の横棒をとりはらってある。起きていますよ。よろしかったらどうぞおはいりください、という印だ。

洗面器に水をはってニガウリと青いパパイヤを漬けてある机にむかって、バンダナを頭に巻いた男が筆でなにやら書いていた。庭はとてもきれいに掃除が行き届いていて、書きものは「足裏考」と読めた。Tシャツにもいっぱい落書きしている。

こらこらこら男 こらこらこら女 万治郎 などと書いている。

キレイな万治郎と目が合った。


 こひとでの夢みる永久や夏の月

馬齢


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