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俳句エッセイ  Norton Simon Museum

人も車も少ない大通りの、閑散とした土曜の午後。

Old Pasadenaと呼ばれるにふさわしい落ち着いた一角の、緑の陰にかくれるように美術館の庭と建物がある。駐車場の警備の男が暇そうにぶらぶら歩いていた。

ポプラが枝をひろげて陰を落とす石段の脇に、首に縄をかけられた男が歯をくいしばり天を仰いでいる。絶望に顔をそむけたり、片手で顔をおおう男もいる。ロダンの「カレーの市民」だ。若い画学生がスケッチをしていた。

ドアを押して、入場料(ひとり$8)を払っている正面に、ムーアの家族像とマイヨールの豊満な輝く裸婦たちがいる。

左手の部屋から、ドガの若い踊り子が呼んでいる。少し迷って、踊り子の呼ぶ声に先に応えることにした。

生前はHunt Foodやカナダドライ、また Avisレンタカーなどで成功をおさめたNorton Simon氏のコレクションは、14世紀から20世紀にいたる画や彫像の多くにわたっている。 マチスやゴッホの絵が私の心の深層意識に語ろうとするメッセージに、静かに耳をかたむけた。

中庭のSculpture gardenに出た。

松の緑の下に、痩せた男と女がきちんと腰かけている。背筋をピンと伸ばして青銅の穴の目で斜め上を見ている。

「ふたり同じもの見ているね」と私が言うと、
「ふたりが辿ってきた道か、それともこれからか」夫が言った。ムーア作King & Queenと刻んであった。


 風ひかるマイヨールの白き石の尻
 若葉風おなじ空見る王きさき
馬齢
                             


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