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俳句エッセイ  めくらいぬ

余寒の厳しい日本から風邪気味で帰ると、カリフォルニアにはゴージャスな太陽が輝いている。

去年植えた細い桜の木が満開になっている。オレンジもライムも鈴なりで、それをいっぱい食べて太ったやくざなリスたちが、庭を跳ね回っている。枝を広げてすももの樹が優雅な花かげをつくっている。ここが、ちかごろ、すっかり花と保護色になった老柴の居場所になっている。

1991年に生まれてすぐうちに来たときには、尾がきりりと巻いて精悍な顔つきをしていた。毛はハワイの砂のいろ、焦げたパンケーキいろ、それがだんだんと白髪が多くなり、今では聴覚も視覚もほとんどない。



 春寒やぶつかり歩く盲犬

村上鬼城
                             

エサどきに庭に出ると、少し残っている嗅覚をたよりによろよろと寄ってくる。花壇に落ちたり、デッキチェアにぶつかりながら鍋をさがしている。

日本に行ってたあいだ、レオを見ていてくださった家族は、毎日スキンシップと愛情とで接してくださっていた。飼い主はとっくに散歩もあきらめていたのに、この人たちはこれを可能に変えてくださっていた。

ありがとうございます。

同時に、自ら限界をつくってしまってあきらめかけていた姿勢を反省している。


 たんぽぽを鼻先に犬昼寝かな

 柴犬と芝のごろ寝や春の風

馬齢


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