|
命の水の泉から 竹下弘美
日本の母を訪ねたとき、トイレにかかっていた絵とそれに添えられた言葉に惹かれた。 トイレに入るたびに読み返した。一斉を風靡した故武者小路実篤氏作で、一本の赤唐辛子の絵であった。彼の独特の手法の黒で縁取りされて、とても情緒 がある。そこにはまた、味のある字で「辛き物あることも嬉し」と書かれていた。そうだ、辛い物があるから、甘い物の味があるわけだ。また辛いという字はつ らいとも読む。言い換えればつらいことがあることも嬉し、ということになる。つらいことがあるから、喜びもあるのだ。 同じような内容の詩に出会った。 混血で生まれたクラーク桂子さんの自叙伝の中である。
「まっ暗々の暗闇で、しくしくやっているのは誰? これは森繁さんの番組の聴取者会が桂子さんをアメリカに送り出す時の会場で皆といっしょに歌ってくれた歌だそうだ。 そして渡米結婚後、桂子さんは心の扉を開いた。そしてノックしていたイエス様を受け入れ、今幸せな生涯を送っている。灯りをともしている。 辛い人生を歩んだ故の今がある。
|