■知ってるつもりの心理学(4)

-人間関係を損ねるもの-

 神崎直行 教授(精神医学・経営心理学博士)
     サウスベイ教会協力者・アドバイザー



   

 子供達の遊びに『伝言ゲーム』と言うのがあります。4-5人から時にはそれ以上の人数で隣の人に前の人からそっと耳打ちされた言葉を次々に伝えていく。最後の人は、その言葉通りに皆の前で発表するというものです。大抵小さい時には誰もが経験しているので、知っての通り、最初の人の言葉をそのままに伝えているはずなのに、最後はとんでもないことになっているのに驚くものです。『お母さんが風邪を引いて寝ている』としたら、最後にはそのお母さんは『入院して危ない』ということにもなってしまう。

 言葉を正確に伝えるということは、大変難しいものです。そこに関わる人達の関係、その時の条件、環境、雰囲気、当人の表情、言葉の調子などによっても微妙に影 響します。特に体調の悪い時などには、ネガティブに表現したり、又受け取ったりします。あるいは自分の心の中に、少しやましい、後ろめいたものがあったりすればさらに受け取 り方はネガティブになって行く。自分が責められていると勝手に思ったり、指示されていると勘違いしたりして、『怒り』、『不愉快』の感情があらわになってしまう。

 このところ、政治家や役人、時には企業のトップが問題を起こしその責任を問われる事件が相次いでいるが、責任を当然負うべき人達の言葉に一つの共通点がある。マ スコミのインタビューや記者会見の席上で、核心に触れられると、「心外です」と言って怒りをあらわにしてその時は否定する。しかし結局は、その『心外』という本人の思うと ころで責任を問われ引責辞任あるいは贈収賄などの事件として逮捕されて行く。

 この『心外です、無実です』という言葉を、伝言ゲームでやったらどうでしょう。『思ってもいません、無実です』『思いもよりません無実なんて』『思いません無実 なんて』・・・といくのでしょうか。当人は『心外』といいますが、心の中では『悪いと思っていない』のでしょうし、『ばれると思わなかった』のでしょう。だからこ そ『心外』なんでしょう。

 言葉を交わすのに、相手の状況を思いやって、言葉は選ばなくてはならないとつくづく思うものです。『だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は 高くされる』ルカ14:11の通りでしょう。相手のことを思う、愛なくしてこころづかいの会話は出来ない。

 例えば、受け身的依頼の言葉として、『○○してもらっていいですか』とよく使う。普通の状態では、特に問題もない。しかし、少し機嫌でも悪いと、『はっきり 言ってよ! ○○してよ…と言ってよ』となろう。依頼するほうは、心の中では(今、頼んだら悪いかな‐)、
(断られたら、傷つくし)と思ってのことでしょう。ここが難しい。

 思い合い、思いやり、そして思い愛が大事です。 
     
神崎直行博士 教授(精神医学・経営心理学博士)
サウスベイ教会協力者・アドバイザー


神崎直行博士プロフィール

慶応義塾大学卒。医学博士(精神医学)、経営学博士(経営心理・臨床)。カリフォルニア・ウエスタン精神医学研究所。大学院で教えるかたわら、臨床活動、著作活動、講演会と超多忙。詩人でもある。著書に『こころの詩』、『こころの出逢い』、『こころ語り』、『成功物語』、『格差の商法』、『成功への戦略実践』、『客づくりの経営戦略』など。経営コンサルタントおよびサイコセラピスト・心理分析に30数年にわたって従事。ここ10年は、大学の研究室で経営における意志決定の心理と働く者の精神医学的内的開放・潜在脳力開発の研究に取り組む一方、大学院生のゼミ教授としても活躍している。


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(安藤迄)

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