■知ってるつもりの心理学(1)

-よりよい人間関係のために-

 神崎直行 教授(精神医学・経営心理学博士)
     サウスベイ教会協力者・アドバイザー


 
 人々の心の悩み,苦しみの奥底を何処までうかがい知ることが出来るのか、カウンセラーとしてどれほど経験しても難しい事です。

 先日もある方が、「先生心が壊れたんです」と訴えてきた。また、別の方は,「先生、頭の中を治して下さい」といわれる。この二つの表現、ことばは何を意味するのでしょう。

 私は心理分析とセラピストとして取り組み始めてから、長い年月の間,何時もこの心と頭との関係について考えましたが、心と頭は一つであって、心臓病と脳外科,脳神経科と言うように肉的に分離は出来ない人間の内的思考性と感情の分野だと思うのです。

 人は、よく怒ると「怒り心頭に達する」という。 この”心頭”はどの様に解釈すれば良いでしょう。心と頭は一体になっています。

 このことからも、私は心理学を専門にしながら、”心理学”と言う表現を好まない。
理と言う言葉が ”理論,理屈”と何か小難しい感じがして、取り組みにくい。 専門家でなくても、理がつくだけで、「人の心の中を覗かれる、見透かされる」と言う変な先入観まで植え付けてしまうのです。
”こころの関わる”だけで、、少し前まで周囲の人々の見る目は違っていたものです。

 一寸した悩みの相談でも何でもカウンセリングと気楽に考えればよいのですが、人の目を気にするのも、又人間の集団、群れ社会の環境心理でもあるのですが、実際はこれが厄介でなのです。 理抜きの”心学”、こころの学とすれば分かりやすい。

 では、ここでもう一考、こころは何処にあるのでしょう。 胸か、胸の辺りかと考えても具体的には言えない。そう感じる心を頭で理解するのです。 頭で理解して、その思いを情化する.ではその理解と情化を結びつけるのは?

 そう、”ことば”です。

 痛い、痒い、気持良いと皮膚感覚も”ことば”で表現、頭で理解する。思い悩みも”ことば”、理論、理屈も”ことば”、例え声を発しなくても、”ことば”が頭を駆け巡るのです。

 もし人間に”ことば”と言う素晴らしい恵みが、与えられていないとしたら、生きていると言う事をさえ人間は理解できるのであろうか?ことばがなければ、痛いも辛いも,ありがとうの気持も何もなく、自分という生き物の自覚も出来ないし、人との交わりさえ不可能だ。

 当たり前ですが,”人間に言葉あり”と神のみ業に感謝です。若い頃から色んな事にチャレンジしてきた。 難しい問題も幾多もあったが、父がいつも「人間、限界と口にしたときが限界だよ」と教えてくれたのを思い出す。ことばが心を支配し,言った様になるものだ。ことばは心、こころは頭、ことばです。

 聖書に「良い人は良いこころから良い事を語り、悪い人は悪いこころから悪い事を語ります。口はこころにあふれてくる事を話すからです」とあります。

 良い事を思い、良いことばを出せば、良いこころで、悩みもなくなります。

                          神崎直行博士 教授(精神医学・経営心理学博士)
                                サウスベイ教会協力者・アドバイザー



神崎直行博士プロフィール

慶応義塾大学卒。医学博士(精神医学)、経営学博士(経営心理・臨床)。カリフォルニア・ウエスタン精神医学研究所。大学院で教えるかたわら、臨床活動、著作活動、講演会と超多忙。詩人でもある。著書に『こころの詩』、『こころの出逢い』、『こころ語り』、『成功物語』、『格差の商法』、『成功への戦略実践』、『客づくりの経営戦略』など。経営コンサルタントおよびサイコセラピスト・心理分析に30数年にわたって従事。ここ10年は、大学の研究室で経営における意志決定の心理と働く者の精神医学的内的開放・潜在脳力開発の研究に取り組む一方、大学院生のゼミ教授としても活躍している。


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